翁長知事が埋め立て許可を取消し


 日米両政府は1996年、宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設返還で合意しました。1999年に名護市辺野古の沖合での代替滑走路建設を決めました。
 2006年、移設位置を陸側へ寄せ、岬の上でV字形に滑走路二本を建設する計画に変更されました。

毎日新聞 10月13日記事

 しかし、オスプレイの訓練が強化されたり、ステルス最新鋭戦闘機F35の運用、強襲揚陸艦が接岸できる軍港機能整備を米側が想定していることが明らかになりました。
 辺野古に建設される新基地が、単なる普天間基地の代替施設ではなく、実態は機能が大幅に強化された新基地であることが明らかになりました。ひとたび建設されてしまうと米軍基地が沖縄に長く固定化されることなります。また、米軍の力による世界支配のための拠点として、侵略戦争に加担し続けることになります。
 多くの沖縄県民は、辺野古の新基地建設を反対しています。
 翁長知事は、普天間飛行場の県内移設計画を巡り、10月13日、前知事による名護市辺野古沿岸部の埋立て承認を取消しました。翁長知事の決断は沖縄の民意を体現したものです。
 一昨年秋に初当選した翁長知事は、対話による解決を重視し、承認取消しまでに約1年間をかけました。
 翁長知事は、2015年の夏に政府との1か月にわたる集中協議に応じました。そのなかで、沖縄戦後の米国統治など苦難の歴史は移設問題の「原点」であると訴えましたが、菅義偉官房長官は「賛同できない」とあっさり退けました。翁長知事が承認取消しに至ったのは正当であり、多くの沖縄県民の意志を表現したものであると言えます。

辺野古新基地問題は法廷の場に

 11月17日、石井啓一国土交通相は、翁長知事による辺野古沿岸部の埋立て承認取消し処分を撤回する代執行に向けた行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こしました。普天間飛行場移設を巡る政府と沖縄県の対立は法廷でもおこなわれるようになりました。
 裁判所が国の訴えを認めれば、国が沖縄県に代わって埋立て承認取消しを撤回できることになります。
 翁長知事は埋立て承認取消しについて、普天間飛行場の代替施設を辺野古に建設しなければならない理由に実質的な根拠が乏しく、埋立ての必要性を認めることができないと説明しました。
 また、「埋立ては沖縄の過重な基地負担や格差の固定化につながる」と指摘し、公有水面埋立法が定める要件を満たしていないと主張してきました。
 国交相は代執行手続きとは別に、沖縄防衛局の行政不服審査申立てを受け、翁長知事の埋立て承認取消し処分を一時執行停止する決定を下しています。
 沖縄県はこの決定を不服として、総務省の第三者機関・国地方係争処理委員会に審査を申し出ました。
 沖縄県民は選挙だけでなく、集会やデモを通して、繰り返し県民の意志を示してきました。過重な基地負担を強いられる沖縄県民の訴えを無視し、安倍政権は力でおさえこもうとしています。
 沖縄県議会の米軍基地関係特別委員会は12月16日午後、翁長知事の埋立て承認取消しを執行停止した石井啓一国土交通相の決定を違法として、決定の取消しを求める抗告訴訟の議決案を、訴訟関連の約1334万円を計上した補正予算案をいずれも賛成多数で可決しました。
 沖縄県は訴状などの準備が整えば、年明け早々に那覇地裁へ提訴する予定です。

米国の意向に沿って基地建設を進める安倍政権

 12月17日、ケネディ駐日米大使は日本記者クラブで会見し、名護市辺野古への新基地建設計画について「普天間移転が実現できれば大きな前進になる。今はできるだけ早く現在の計画を実施に移すべきだと思う」と述べ、新基地建設を推進する考えを示しました。
 ケネディ氏は、仮に日本側が辺野古以外の移設先を示した場合、米国政府は検討する余地があるかとの問いに、「さまざまな計画が検討されベストのものに至ったと信じている」と強調し、辺野古案が最善だとの考えを示しました。
 安倍政権は、米国との約束をたてに強硬に辺野古新基地建設を進めようとしています。
 米国防総省は2015年の1月、国防予算の大幅削減に伴う欧州の米軍基地・施設の再編・統合計画を発表しました。
 英国のミルデンホール基地の米空軍部隊を移転して閉鎖するなど欧州6か国で計15基地・施設を閉鎖して当該国に返還します。この計画は数年かけておこなう予定で年間約5億ドル(約600億円)の経費が削減できると見込んでいます。
 対象は、英国のほか、ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、ポルトガルの基地・施設です。英国では、ロンドン北西のミルデンホール基地の空中給油・偵察部隊、特殊作戦部隊計約3200人をドイツの基地に分散移転します。他の二つの空軍基地は閉鎖します。一方、レイクンヒース基地には、F35の二つの飛行隊を2020年までに配備します。F35飛行隊配備には1200人の増員が伴うため、英国全体の駐留米兵は差し引き2000人減ることになります。
 米国は欧州では基地返還を進めながら、日本に対しては新基地建設を要求しています。
 対米関係を自主化し、在日米軍基地をなくしていくことが求められています。

沖縄県民のたたかいは前進する

 沖縄では日米両政府の辺野古新基地建設の動きに反対して、多くの県民がたちあがって運動をおこなっています。
 沖縄を基地のない平和な島にすることは、沖縄県民の譲ることのできない強い願いであり、日本人民総体が早急に解決しなければならない課題です。
 沖縄県民のたたかいは、平和をめざす世界の流れに合流しており、必ず前進していくでしょう。

(K・N)

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