インタビュー

八重山舞踊とともに

―「トキの会」30周年記念公演を終えて―

田島美智子(舞踊家)

公演を終えて

 30周年の記念と銘打っての公演でしたが、公演当日は雨にもかかわらずたくさんのお客さんに来ていただき、笑顔で楽しんでもらえたということがよかったと思います。
 終了後に楽屋にみなさんが訪ねてきて、「よかったよ」「とても感動した」と声をかけて頂きましたが、わたしたちにとってはこのようなことが大きな自信にもなり、励みになることなのです。
 舞踊を始めて28年になります。今では免許も取り、後輩を指導するようになっています。最初は琉球舞踊をしていました。舞踊を始めた当初は踊ることが楽しいということだけで踊っていましたが、自主の会の活動にかかわるようになって、芸能について考えるようになりました。
 八重山舞踊が人々の生活と深くかかわっており、人を元気にする力があることや、人間が人間らしく生きることに寄与できるものであることを知り、八重山舞踊に真剣に取り組むようになりました。
 八重山は詩、唄、踊りの島、芸能の宝庫と言われています。芸能が盛んで、感動的な詩や踊りがたくさんあります。八重山の芸能はもともと五穀豊穣をもたらす神への感謝や、島の繁栄、風土をたたえるものが基調になっています。また、自然の美しさを詩で表現し、踊られています。
 沖縄の歴史がそうであるように、八重山も大国に支配され、人頭税で苦しめられたり、風土病、自然災害などの厳しい歴史をたどってきました。そのようななかで、芸能は人々の心のよりどころであり、それに大きく励まされてきました。また労働するときも唄を歌い、悲しいときもうれしいときも唄いながら人々は生きてきました。  
 沖縄には「ゆいまーる」という言葉がありますが、助け合い支えあって生きていこうという気持ちをあらわしています。そういう気持ちが芸能によって育まれてきたのではないかと思っています。そのような気持ちを大事にし、芸能を後世に伝えていくことが大切だと思っています。
 沖縄には「沖縄のこころ」があります。平和を愛するこころがありますし、自然や文化を大切に思うこころ、何よりも人を大切に思うこころがあります。
 沖縄には「いちゃりばちょーでー」という方言があります。「一度会って会話をした人はみな兄弟だ」という意味です。末長くお付き合いしていきましょうということです。このようなこころを育んできたのは沖縄の豊かな文化や芸能の役割があったのではないかと思います。
 芸能には人々を強くしたり、やさしくしたり、人々の心を一つに結びつけることができる力があるのでしょう。

沖縄に基地はいらない

 今、沖縄の基地問題が注目されています。沖縄の人たちは少しは変わるのではないかと期待していたと思います。しかし今の状況では、沖縄の基地は何ら変わることもなく、さらにまた固定化されようとしている現実があります。そこには沖縄にたいする差別があると思います。
 支配と従属からは沖縄の未来は展望できないし、日本や世界の未来も同じだと思います。沖縄の基地問題は沖縄の人々自身が自主的に生きていこうという意志を貫いていくことによって、はじめて解決されていくのではないかと思います。現状に甘んじることなく、自主的に生きようという思いを強くもつことが大切です。
 沖縄にも、日本にも、世界のどこにも戦争のための基地はいらないと思います。

八重山舞踊とともに歩む

 組踊りや琉球舞踊は琉球古典音楽として沖縄の大学などで学ばれています。
 しかし、八重山の芸能についてはその他のものであり、雑ものに分類され、講義の対象にならないということです。そんなことを聞くととても残念だと思います。もっと八重山芸能を体系的に学べるようにしていきたいと思っています。
 八重山芸能がなぜいいのかという点について、芸能活動の意義について自分自身がもっと深めて、技能面だけでなく、社会の発展と結びつけ、芸能の果たす役割などについてもよく理解したうえで、同じように芸能活動をする人たちと共通認識をもって八重山舞踊を発展させていくことが大事ではないかと感じています。そのような気持ちを持ちながらやっていきたいと思っています。
 今後一層芸能活動の幅を広げ、多くの人々に感動を与える踊りが踊れるようになりたいと思うとともに、みんなを元気にできる踊り手をめざしていきたいと思います。