視点

福田政権の登場とわたしたちの課題

植木しげる(「自主の旗」編集委員)

 9月23日、自民党総裁選において福田康夫氏が総裁に選出され、25日、首相に就任しました。

福田政権が登場した背景

 この間、アメリカではブッシュ大統領、日本では小泉元首相、安倍前首相のような新保守主義者、新自由主義者が政治の方向を決めてきました。
 新保守主義は武力や暴力の方法で、議会においては数の論理で支配層の利益を実現していきます。
 新自由主義は基本は自由主義ですが、経済活動にたいする規制や干渉を排除し、弱肉強食の完全な自由競争を実現するというものです。
 新保守主義、新自由主義は、すべての人が認めるかどうかは別にして、破綻したと見ることができるでしょう。
 新保守主義、新自由主義を主張する政権が今後登場する可能性もありえます。
 しかし国家が軍事力に力をいれて弱い国々を侵略し世界を武力支配することや、国内的には弱肉強食の競争を激化させ社会的弱者の境遇をいっそう困難なものに陥れることは、政権の安定や国家の繁栄につながらないことは明らかです。
 また、日本の新保守主義者は中国、ロシア、朝鮮、韓国を敵対的な対象として位置づけています。しかし中国を敵にまわすと日本の経済発展が困難になります。新保守主義と日本の経済発展は矛盾をきたしており、新保守主義が台頭すれば日本はアジアでの孤立をまぬかれません。
 また安倍前首相がなぜ突然辞任したのでしょうか。
 安倍前首相は拉致問題を前面にかかげ、アメリカに協力を求めていました。安倍前首相はアメリカのブッシュ大統領らに、朝米関係の改善はアメリカの立場ですすめる、朝鮮の拉致問題は日本が自分で解決するようにいわれたと見られています。
 アメリカにたよって問題を解決しようとした安倍前首相はパニックに陥り辞任したということが考えられます。

福田政権の特徴

 新保守主義、新自由主義が破綻した後、福田政権が登場しました。
 福田政権は一言でいえば、保守主義の流れをくむ政権と見ることができるでしょう。
 福田政権の閣僚を見ると、閣僚18人のうち13人が再任されました。大半が変わらなかったばかりか、自民党の派閥九派のうち八派が自民党四役と閣僚にはいりました。すなわち自民党のほぼ全党全派閥をあげて福田政権を支える体制ができたといえます。
 福田首相の政治手法は俗にいうならばみんな手をつなごうということだといえます。国内はもとより中国や朝鮮、あらゆる国々とも手をつなぐ全方位外交であるともいえるのではないでしょうか。
 福田首相は拉致問題は日朝国交正常化を実現することによって解決することを表明しています。福田首相は町村信孝氏を官房長官にすえ、中山恭子氏を首相補佐官として留任させていますが、町村氏も中山氏も拉致問題については強硬派です。
 今後、政権内部で対立が生じ綱引きがおきることが予想されます。
 福田首相が初心を貫くなら、かれらを政権内部に取り込み包摂していることはプラスに作用するでしょう。
 今後、福田政権が新保守主義、新自由主義と一線を画して自己の政策を遂行できるかどうか、見ていく必要があります。

自主の流れにそった運動を

 わたしたちは福田政権にすべてを期待しているわけではありません。何よりも民衆の政治的要求を高め、政治的力量を構築し、運動を強めていく必要があります。
 わたしたちが運動を強めるうえで、注目すべき国はベネズエラ、キューバ、イラン、朝鮮です。
 これらの国々はこれまでの歴史にはなかった国づくりをしているという点で注目に値します。
 これらの国々の共通性はすべての人々が国づくりに参加しており、人々が熱く沸き立っているということです。
 またこれらの国々の共通性は反帝、自主、社会主義の道をすすんでいるということです。社会主義といってもこれまでのマルクス・レーニン主義にもとづく社会主義ではなく、各々微妙に異なっていますが、人々がみな助け合って生きるという意味では社会主義としての共通性をもっているといえます。
 反帝、自主、社会主義という大枠にそってすすむなら、かれらの国づくりは正しい方向にそって前進していくでしょう。
 わたしたちは自主・民主・平和をかかげあらゆる動きを見すえて、運動をまっすぐにおしすすめていきましょう。