視点

改正教育基本法成立は右傾化の危険な動き

 安倍内閣が最重要課題と位置づけていた改正教育基本法が、12月15日参議院本会議で自民、公明の与党の賛成多数により可決、成立しました。

反動化をすすめる改正教育基本法

 改正教育基本法は、前文で「公共の精神の尊重」をうたい、教育目標として「伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する態度を養う」とし、愛国心を強制する内容になっています。
 教育基本法が「改正」されることにより、教育が国家中心のものとなり、教育行政や国家権力による教育内容への介入がいっそう強くおこなわれるようになります。
 与党の改正教育基本法は、国家や政府による国民への統制を強めることにつながり、さらに憲法を「改正」し日本を戦争にできる国にする動きとしてみていかなくてはなりません。

教育関係者が話しあうことが大切

 教育において重要なことの一つは、子どもに夢を与えることです。そして日本と世界の未来とはどのようなものなのか明確に示さなくてはなりません。
 教育において重要なことの二つは、自主的な人間として子どもを育てることです。子どもの根本的な要求にそって教育の道すじを立て、自主的な人間として育てる教育課程をつくっていかなければなりません。
 いま教育について正しい基軸をもってとらえることができず混乱しています。教育関係者が教育について話しあうサークルをつくり、新しい教育を創造する運動をすすめていくことが大切です。

教育は育てること

改正法と現行法の主な対比

改正法(前文と18条 現行法(前文と11条)
前文 我々は、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない
愛国心 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う(2条) 規定なし
教育行政 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われる(16条) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われる(10条)

 子どもにたいして、肉体的、精神的暴力で思うとおりにさせようとするのは、人間的な方法とはいえません。
 教育は、まず育てることであり、つぎに教えることです。
 育てるというのは、外から何かを無理やり与えて子どもを変えることではありません。育てるというのは、人間のもっている自主的に伸びようとする本性的な要求を、いっそうひきだし現実化する過程です。
 植物が生長するために日光や肥料が必要であるのと同じように、人間にとっても周囲環境は必要です。
 しかしそれ以上に人間自身が内面から伸びようとする要求を信じ、育んでいくことがより大切です。

教育は教えること

 つぎに人を育てるためには、教えなくてはなりません。
 10回話してわからなければ100回、100回話してわからなければ1000回教える過程でしか人は育ちません。
 いまの教育の一部にあらわれている誤った傾向は、子どもを信じることはせず、ただ知識を多く与えて物知りにすればよいと考えていることです。そのような考え方は、子どもを中心に考えているとはいえません。
 教育において、人間を信じるという思いとその思いにもとづいた関係を強めていくことが大切です。