インタビュー

障がいをもつ人の社会参加を促したい

黒嵜 隆(弁護士)

黒嵜 隆(くろさき たかし)
1985年 明治大学政治経済学部卒業
1995年 司法試験合格
1998年4月 東京弁護士会弁護士登録
2000年4月 フロンティア法律事務所設立

役職など
東京簡易裁判所民事調停員
NPO法人バラエティクラブジャパン理事
(財)福祉のまちづくり学会幹事
もっとやさしい旅への勉強会代表

 弁護士としての仕事を行いながらも、障がいをもつ人の権利擁護についても取り組まれたり、「福祉のまちづくり学会」幹事として、また「もっとやさしい旅への勉強会」代表として各界のさまざまな人たちと一緒に啓蒙活動を行なうなど、多彩な活動を繰り広げている黒嵜弁護士にお話を伺いました。

―最初から弁護士になろうとされていたのですか。

 大学の3年の終わりころ、オートバイで事故をおこして脊髄を損傷し、それから車椅子の生活になりました。
 当初はマスコミ関係の仕事に就こうと考えていましたが、当時車椅子で就職するというのが難しくて、これから将来どうしようかと考え、そのときはやけになって、司法試験をめざそうかなと思い勉強に取り組みました。

―障がいをもつ人の権利擁護についても取り組まれてますね。

 障がいをもつ当事者が施設で事故があったりとか、虐待を受けたりした事案については何件か裁判をやっておりますし、相談をうけることが多いですね。
 日本でも新バリアフリー法ができたこと自体は、ある程度評価すべきことだと思いますけれども、あくまでもそれは事業者などに対する施策を命ずる法律であって、当事者の権利を認めた法律ではありません。
 障害者差別禁止法のようなさまざまな生活分野において当事者が差別されない権利を明確に認める法律が必要だと思います。

―どのような社会が良いと思われますか。

 健常者であれ障がいをもつ人であれ、基本的に人間にはそれぞれ個性、違いがあります。たまたま障がいを持つ人は社会生活を営むうえで不自由な面があるということであって、そのような人は世の中にたくさんいます。ですからそれも一つの個性として、違いとして認め合うことによって良い社会ができていくものと思います。
 いまの日本はかなり成熟した社会だと思いますが、そのような社会の中で全員が一つ一つの違いはたいしたことではない、お互いに足りないところはみんなでカバーしていこうという発想は絶対に必要であるし、誰でも心のなかにそのような気持ちをもっているのではないかと思います。

―若者がどのようにしたら夢をもって生きることができるでしょうか。

 なかなかむずかしいですね。やはり個々の人の個性というか、画一的な社会ではなく個性をお互いに認め合うような社会になればいいと思うんですよ。人の個性を認めてこそ、自分の個性もだせると思います。極端ですが、基本的に人にめいわくさえかけなければ、何でもやってよいと思います。ほんとうにやりたいことをやると、そういう環境をつくるのが非常に重要ではないかと思います。
 僕は車椅子の生活になってできなくなったことがたくさんあると思いましたけれど、逆にまだまだできることが無数にあると言うことを思って、もうやりたいことをやるしかないと開き直って、弁護士にもなったし、ブルースカフェバーも開いたしという感じですね。

―平和について思うことがあればお聞かせください。

 過去の戦争などで日本がおかしたことについては、もちろん十分に反省すべきだと思いますし、襟(えり)をただすところはただして、いまの良いところを前面にだしてアジア全体の発展に協力していくべきだろうと思います。
 ともすれば、日本は他のアジアの国を低く見がちな目があると思うんですよね。同じアジアのなかで、それぞれの人の個性を尊重し認めるというのと同じだと思います。いろんな国がありますが、発展途上の国であっても、同じ人間、同じ気持ちをもった人の集まりで、他人を認め尊重するという基本的なところでは国にたいしても同じではないかと思います。

―座右の銘はなんですか。

 あえていえば「レット・イット・ビー」なんとかなるさということですか。
 どうせ生きているんだから前向きに生きなければ損だなと思いますし。開き直りましたよね。もちろん努力するのが前提ですが。

(7月18日編集部でインタビュー)