展望

アジアを重視し協調する対外政策への転換

 世界には新しい流れが生まれています。
 21世紀に入って、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど世界のいたるところで自主、平和、協調の新しい動きが起きています。

アメリカの歴史的な後退

 米紙ウォールストリートジャーナルは5月12日、ブッシュ大統領の支持率が29%になったという世論調査結果を発表しました。
 この間アメリカ政権を支えてきた新保守主義・新自由主義者といわれる政策担当者たちが、辞任もしくは解任されるようになり、政権基盤が弱体化してきました。
 経済的にも苦境に立たされるようになり、アメリカへの世界の信任も歴史的に大きく低下するようになってきました。
 かつてアメリカは、ヨーロッパにたいして、NATO(北大西洋条約機構)の武力を通して政治的に支配するというやり方をしてきました。
 しかし、ヨーロッパはEU(欧州連合)を形成し、共通通貨ユーロを使って経済統合を実現し、アメリカから距離をおいて政治経済活動をおこなうように変わってきました。
 21世紀に入ってから、新たに三つの勢力が世界の表舞台に登場するようになってきました。
 アメリカは、もはや武力による一極支配ができない状況になってきています。

ラテンアメリカで反米の新しいうねり

 わずかこの数年間に、ラテンアメリカ諸国で、次々に進歩的な政権が誕生し、反帝自主の道にすすむようになってきました。
 今年7月から発足したペルーのガルシア政権はアメリカに距離をおく進歩的立場をとっています。またボリビアでは今年史上はじめて先住民族の大統領が誕生しました。
 これらの政権に共通しているのは、武力ではなく、選挙を通じて政権をとったことです。ベネズエラのチャベス大統領は選挙の度に支持基盤を強めてきました。ベネズエラは世界有数の産油国であり、ロシアと同様、現在の原油高騰による経済的な後押しもありアメリカにたいして自主的な立場をとっています。

中国とインドのめざましい経済成長と躍進

 中国とインドは、毎年10%近くの経済成長率を維持しています。
 中国とインドの二か国だけで世界の総人口60億余の三分の一以上にあたる25億人を占めています。
 中国とインドの25億人の人々が一丸となって前進し経済的に大きな成果を収めています。
 日本政府は、中国を敵視していますが、アメリカは中国と良好な関係を築こうと努力しています。アメリカは基本的に中国を敵視する立場にはなく、自らは中国と良好な関係を築き、日本に敵対的立場をとらせています。

アフリカ、中東におけるイスラム教徒の広がり

 世界的にもっとも宗教人口が増加しているのがイスラム教です。イスラム教徒は15億人に近づいたといわれています。
 今年パレスチナではハマスを中心とする新政権が発足しました。ハマスが民主的な議会の選挙を通して政権につくようになったのは、彼らが貧しい人々の中に入り、民衆を助ける活動を誠心誠意行なっているからです。実践を通して世界的範囲でイスラム教が貧しい人々のなかに急速に広まっています。

過剰なミサイル報道とアメリカへ従属を強める日本

 7月5日に朝鮮の軍事訓練で発射されたミサイルに関連して、連日のようにマスメディアが反朝鮮キャンペーンを繰り広げています。また日本政府は国連の安全保障理事会で朝鮮にたいする制裁決議をあげるために、旗振り役となって勢力的に外交活動を展開してきました。
 7月19日に日米両政府は、ミサイル防衛(MD)の共同運用で、情報共有の指針となる協定文書を締結する方針を固めました。
 朝鮮のミサイル発射を口実に、日本はますますアメリカと軍事的にも一体化し時代錯誤的な危険な道を歩もうとしています。
 日本は世界の流れに踏まえてあくまでも自主、平和、協調の道を歩んでいくことが求められています。