視点

介護、医療分野へ拡大する国民負担

 7月10日厚生労働省は、2008年度からこれまで全額税金で負担していた生活保護受給者の医療費を一部自己負担する方向で検討をはじめました。
 障がい者や介護を必要とする高齢者に加えて、生活保護受給者にたいしてまで重い負担を広げていくものとして多くの人から憂慮する声があがっています。

ますます増える国民負担

 今年の4月から障害者自立支援法が施行されました。
 それまで障がい者が生活するのに必要なサービスは所得を基準として負担(応能負担)していましたが、介護保険同様に受けたサービスに応じて自己負担するように変わりました。
 また今年の10月から高齢者の医療制度が変わり、現役と同様の所得がある70歳以上の自己負担が、現行の2割から3割に引き上げられます。
 一般の高齢者にたいしても新しい高齢者医療制度が創設される2008年4月から、70歳から74歳で現行1割負担から2割に増額される予定です。
 国民が負担する税負担と社会保障費に、借金の先送りである国と地方の財政赤字を合計し、国民所得で割った比率である潜在的国民負担率も約50%を占め負担が大きくなってきています。

親の収入で大学も決まる

 2004年に東京大学で実施した学生生活実態調査の中で、東京大学に入学した学生の親の所得調査が行なわれています。
 その結果、入学者の45%の家計が年収950万円以上となっています。また約20年前の1985年の調査結果と比較してみると高額所得者の占める割合が増えてきていることが分かります。
 高額所得者の親を持つ子弟の合格率が高く有利になっています。
 東大入学者の親が高額所得者であるということは偶然ではなく必然であり、誰もが東大に行く自由は無いということを示しています。

資本と自由が基本の日本社会

 日本は資本主義社会であり自由主義社会です。
 資本を中心にしながら自由競争で歩んでいく社会です。
 健常者と障がい者、男性と女性、大人と子ども、強者と弱者、お金のある人とない人、高齢者と若者などを何の前提条件もなく自由に競争させる社会です。
 これらはすでに出発点の段階で勝者と敗者が予想でき結果も決まっている社会ですが、誰も邪魔をすることが認められず、お金を持っている人が有利になる社会です。

お互いが公平な立場で助け合い努力しあう社会

 いま日本は経済制度としてみれば資本主義社会ですが、資本主義社会のままであっても相対的に人間中心の社会は実現できるのではないでしょうか。
 みんなが公平な立場で助け合い、努力していく社会、誰もが安心して生活ができ、教育や福祉、医療を十分に受けることのできる社会がすべての人にとって住みやすい社会といえます。
 誰もが生きる権利がありますし、誰もが自分の幸せを切り開いていく権利があり、切り開く力もあります。それを妨げる権利は他の人にはありません。
 そのような要求性を強くもち実現するために努力する中で、お互いの誇りや尊厳を大切にし助け合う新しい社会を展望していくことができます。