展望

多くの人々によって築かれる平和な世界

 本来、人間は誰もが平等に人間らしく生き、生活する権利があります。
 しかし、いま多くの人々が日本の社会や世界の国々で格差が生じていることを感じています。
 国連人間開発報告書2005年版によると、世界の最富裕層約500人の所得は、貧困層約4億人の所得を上回っています。
 1日1ドル未満で生活している人は約10億人、1日2ドル未満で生活している人は約25億人にのぼります。
 世界の総人口は約60億人なので約4割の人々が1日2ドル未満で生活しているのです。これらの貧困層約25億人の所得の合計は、世界の総所得のわずか5%にすぎず、最富裕層上位一割の所得は世界の総所得の54%を占めています。

増えつづける紛争犠牲者

 世界における紛争と戦争で失われる人命は年々増えつづけています。
 16世紀には160万人だったのが17世紀には610万人、18世紀には700万人、19世紀には1940万人となっています。世界の人口に占める紛争に関連した死者数の割合は18世紀以降増加しつづけています。
このままで推移すれば21世紀はさらに多くの人命が失われることになります。

戦争を金儲けにする人々

 戦争が起きる原因は、戦争によってお金を儲けようとする人々がいるからです。
 アメリカでは、高額の報酬と引き換えに軍事行動を含めて何でも引き受ける民間軍事請負会社がイラクに進出していることが社会問題になっています。
 現在イラクに駐留している米兵は15万人にのぼり、イラク戦費はすでに1000億ドルを超えているといわれています。しかし、これらの戦費のうち米軍が使うのはわずかで、多くが民間軍事請負会社に支払われているとのことです。
 米軍兵士と民間軍事請負会社従業員の比率は、1991年の湾岸戦争時には50対1であったのに対して、イラク戦争では10対1に跳ね上がり、さらに民間会社の比率が高まって  「第二の軍隊」と呼ばれています。アメリカの副大統領は民間軍事請負会社を経営して儲けています。
 アメリカ政府は年間約5000億ドルを国防費として支出していますが、それは戦闘機や食料品、軍服などをつくる会社に流れていき戦争商人を潤しているのです。
 戦争によって暴利をむさぼるアメリカに協力しているイギリスや日本にも、イラク戦争によって莫大な利益を得ている人たちがいます。

宗教の誕生と発展

 現在、世界では多くの人々が宗教を信仰しています。
 イエス・キリストは最も虐げられている貧しい人々を救うためにこの世につかわされた神の子として磔(はりつけ)になり、その犠牲的な姿が多くの人々の心をとらえました。キリスト教は、ユダヤ教の僧侶たちが権威をふりかざして民衆を虐げるなかで急速に普及していきました。
 宗教が誕生したときは、困っている人々を救うことが出発点にありました。
 しかし、キリスト教も僧侶たちが権力をもち、特権階級化するなかで民衆と遊離し、腐敗していきます。
 つぎに登場したのはムハンマド(マホメット) です。ムハンマドは人間の平等を主張しイスラム教を提唱します。現在、イスラム教は世界のあらゆるところで急速に広まっています。

人間自身に力を見出す

 人間は自然と社会と人間自身にたいして従属するのではなく主体的にかかわり、自己の要求にそって周囲世界を変革することができる社会的存在です。
 人間が幸せを感じるのは、自分が誰かの役にたっていると感じるときです。
 また、みんなで助け合ったり、心が通ったりしたときにも幸せを感じます。
 反対に人から無視されたり冷たくされたりすると、物質的には豊かでも幸せとは感じません。最近多発する不幸な事件は、人と人との関係をよく築けず、自分を肯定できないところから起きているのではないでしょうか。
 いま重要なことは人間を信じ、人間自身に力を見出すことです。人間以外の大きな力に頼るのではなく、まず自分自身の前向きな気持を信じ、育てていくことが大切です。
 いま多くの人々と協力して互いに信じあえるよりよい社会、世界を築くための創造的なとりくみが求められています。