インタビュー

誰もが生き生きと安心して働ける職場に

鴨桃代さん(全国ユニオン会長)

鴨桃代
1948年 静岡県清水市生まれ
1972年 淑徳大学卒業、保育士として就職
1988年 千葉県労働組合なのはなユニオン結成 書記長就任
1998年 同委員長就任
2002年 全国ユニオン会長就任
2004年 非正規雇用フォーラム結成 共同代表就任

 昨年10月6日におこなわれた日本労働組合総連合会(連合)大会での会長選挙で、ゼンセン同盟会長の高木剛氏に対抗して立候補した全国コミュニティ・ユニオン(全国ユニオン)会長の鴨桃代さんが大健闘し、一躍注目を集めました。
 ゼンセンは大手企業労組を傘下にもつ民間最大の産別で組合員は80万人、かたや全国ユニオンは正社員だけでなく、パートや派遣、契約社員なども組織している個人加盟の労組の集まりで組合員は3300人。
 労働界に何がおこっているのか、鴨桃代さんにお話を伺いました。

−男性主導の組合のなかで連合の会長に立候補したのはなぜですか。

   当時は衆議院議員選挙が終わり、自民党が圧勝したときでますます格差社会が広がっていくのではないか、また憲法改正もすすむのではないかという危機感がありました。
 民主党の代表が労働組合と距離感をもちたいと発言し、労働組合自体が問われているのではないかという思いもありました。
 訴えたのは三つのことです。まずひとつは、正社員と同じように働いているのに賃金などで差別されているパートタイマー労働者を正社員にする取り組みを前進させたい、二つ目は連合内部で民主主義を確立したい、そして平和を守りたいということです。
 結果的に107票を獲得したことは、私と同じような危機感、また必要性を感じている人たちが連合内にいたからと思います。

−今、非正規労働者(パート、派遣、契約社員など)が増えていますね。

 構造改革がすすむなかでリストラなどがおこなわれ、非正規労働者が大量に増えています。連合としても、99年から非正規労働者を組織する方針を掲げていますが、その取り組みの速度が遅くて現実に追いついていないのです。
 若い人たちは多様な働き方ができるように言われていますが、実際年間2000時間働いたとして、パートでは時給904円なので年収は200万円以下、派遣でも時給1250円とすると250万円以下です。
 また、派遣労働者は契約期間が短く、3か月以内が60%もいます。いつ雇用期間が打ち切られるか不安を抱えながら仕事をしているのです。
 自由な選択ができるのではなく、そういう働き方しか選択できない現実があります。

−今年の春闘では賃上げが前進しそうですね。

 少し明るい兆しがみえますが、「成果主義」が流行っているので、獲得した賃上げ原資がどう配分されるのかは労働者にはみえにくいのです。賃上げの実感があるのか、同時に非正規労働者にはどう反映されるのか、気になります。
 「成果主義」は人件費コスト削減が前提なので、成果をあげた全員が良い評価を得られるわけではないのです。労働者同士で競争を強いられ、心もすさんでいきます。
 マクドナルドやコンビニなどの店長は朝から晩まで拘束されています。「管理職」ということで残業手当もでません。正社員の働き方も長時間労働や異動、配転などいろいろな問題があります。

−組合活動のなかで大切にしていることは何でしょうか。

 活動は楽しく、また押付けにならないようにしています。毎年メーデーでは、新宿を出発点に山手線一周めぐりをします。10時間歩きます。どこから参加しても抜けてもよいのです。
 組合活動はただ数が多ければよいのではなく、そこに人間的な関係が築かれていくことが大切です。
 労働組合は、組合費を出している人たちだけのものではなく、すべての労働者を視野にいれた活動をしていかなくてはならないと思っています。
 同じ職場で賃金格差があると、なかなか団結しにくいものです。また、女も男も仕事と生活の調和が図れる働き方をめざしたいので、いろいろな働き方を認め合い、生活できるように均等待遇(同一価値労働同一賃金)と理由のない有期雇用(期間を定めた雇用)禁止の立法化を実現していきたいですね。

※       ※       ※

 労働組合の活動と家事、育児の両立について伺うと、笑顔で「今は子どもも大きくなったので」と苦労話はあまり語らなかった鴨さん。苦労している人たちの力になることを喜びとしている人柄が支持されたのだと感じました。

(3月23日編集部でインタビュー)