視点

政治は人々の生活を守らなくてはならない

 2月23日、厚生労働省は、大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」が全国にある122の系列ホテルのうち、約半数の64ホテルで不正改造していたとの調査結果を発表しました。
 「東横イン」では、身体障がい者用の駐車場を完了検査後に客室に改造したり、身体障がい者用の客室を会議室や一般客室に無届けで変更したりするなど旅館業法や自治体の条例に違反していました。

障がい当事者団体が抗議

 2月2日、「東横イン」の西田憲正社長は、日本身体障がい者団体連合会(日身連)をおとずれ、「身体障がい者は利用が少ないので改造した」などと発言したことについて謝罪しました。
 小川栄一・日身連会長は、不正改造箇所の早期改善や差別発言にたいする謝罪などを求めた抗議文を手渡しました。これを契機として全国各地で障がい当事者団体による抗議行動がおこなわれました。
 これまで身体障がい者はあまり外出せず、ホテルなどに宿泊することも少ないとみなされていました。しかし、最近では積極的に外出する障がい者が増えています。
 また単に利用率が高いかどうかということではなく、誰もがいつでも宿泊できるホテルが用意されていることは人間として当然の権利です。
 今回、全国各地の障がい当事者団体が、「東横イン」の不正改造にたいして、人間として当然の権利を侵害されたと堂々と抗議したことは誇らしい行動といえます。
 法律に違反してでも一人でも多くの宿泊客を得ようとする「東横イン」の金儲け主義の姿勢にたいして、多くの人々は批判の眼を向けました。
 まだまだ不十分とはいえ、障がい者がバリアフリーの社会で暮らしていくことを可能にしようとする取り組みが社会的にも認知されてきたことを示しているといえます。

ヒューザーが破産宣告

 昨年11月17日、国土交通省は、姉歯建築設計事務所による構造計算書の改ざんがおこなわれたマンションやホテルが多数あることを発表しました。
 この一部はヒューザーが建築主として販売に当たっていたことが明らかになったため、ヒューザーはマンションの住民から契約の解除や代金の返還を求められ、資産の散逸をふせぐことを目的に1月31日に東京地裁に破産が申し立てられました。
 一方ヒューザーは、偽造を見逃したのは自治体の責任だとして、東京都にたいして総額約139億円の損害賠償を求める訴訟をおこし、マンションの解体・補強費用に充てるとしていましたが、2月16日、東京地裁は破産手つづきの開始を決定しました。負債総額は約84億3700万円です。
 

市場原理は人々の生活を破壊する

 耐震強度偽装事件が起きてから3ヶ月以上がたちました。
 マンションから立ち退きを命じられ転居する住民もいますが、今後の対応も決まらないため、不安を抱えたまま暮らしている人たちもいます。建築物が地震などでつぶれないか、安全に建てられたかを調べるのは本来国の仕事です。
 しかし、建築確認は98年から民間に開放されました。偽装問題は民営化の産物であることは明らかです。
 民間機関は、競争社会のなかで確実に儲けるためには、コストをできるかぎり下げ、競争に勝とうとします。
 設計事務所だけではなく、施工業者をはじめあらゆる関係団体が耐震強度の偽装にかかわっていた事実が明らかになりました。
 「東横イン」の不正改造と耐震強度偽装は共通性があります。それは市場原理主義が貫かれた結果もたらされたものだということです。
 資本主義社会では金を早く多く生み出した者が勝利者になります。
 市場原理主義を貫いていけば、人々の生活は破壊され、格差が拡大されていくことを示しています。