展望

ポスト小泉はアジア重視の政策に

 小泉純一郎首相が今年9月で任期を終えることが確定しているため、ポスト小泉論議が盛んにおこなわれています。
 昨年10月31日から11月1日に共同通信社がおこなった世論調査では、次期首相候補として、安倍晋三氏が他の候補者を大きく引き離しています。

アジアとの関係修復を求める声高まる

 しかし一方では、靖国神社参拝をめぐって冷え込んだ中国、韓国などアジア諸国との関係を修復できる首相を期待する声が高まっています。
 山崎拓・自民党前副総裁は、ポスト小泉について、外交政策では「アジア重視に大胆にシフトすべきだ。中国や韓国との関係も正常化を図る必要があるため、自民党総裁選では、靖国神社参拝問題を争点とすべきである」との考えを示しています。
 また、日経連会長の奥田碩氏(トヨタ自動車会長)は、日朝関係を正常化することを主張しています。
 南北朝鮮の統一が時間の問題となっているなかで、南北を縦断する鉄道などの交通網が整備されていっています。韓国とだけではなく、南北朝鮮の統一後も視野に入れた外交が求められています。
 日本の財界も、30億人もの人口を占め、経済成長が著しいアジアの市場を得るためには、これ以上アジア諸国との関係を悪化させないことを望んでいます。

情報に惑わされずに

 内閣府が昨年12月24日付で発表した「外交に関する世論調査」によると、韓国にたいして「親しみを感じる」と答えた人は、51.1%で一昨年よりも5.6%下がりました。韓流ブームもあって最近は親近感が増しつづけていましたが、4年ぶりに下落しました。今回「親しみを感じない」とした人は44・3%でした。
 中国に「親しみを感じる」とした人は32.4%で、過去最低だった一昨年をさらに5.2%下回りました。また「親しみを感じない」とした人は63.4%で、75年からつづけてきた調査で過去最高となりました。
日本の多くの人々が一番身近な国にたいして親しみを感じていないということは不幸なことです。  これは、中国の反日デモや韓国の領有権問題などが影響していると思われますが、マスコミの一方的な報道の影響も大きいといえます。
 日本では一見情報があふれているようにみえますが、肝心な問題では目隠しをされていて、正しい歴史認識と国際感覚をもつことが難しくなっています。
 私たち一人ひとりが何が正しいのか判断できる力をもつ必要があります。

民衆が犠牲になる政策はいつまでもつづかない

 小泉首相の在任中の9月までは構造改革が進み、国民の負担がまして、生活がますます厳しくなっていくことが予想されます。
 しかし、小泉首相が退任した後は、同じように強権的な政治はつづかず、必ず揺り戻しが起こるのではないかと思われます。
 自民党内部でも地方の組織では小泉首相の民主主義を無視した強権的なやり方に反発する勢力が多くなっています。
 人間には自主性があり、個人の生き方だけではなく、社会との関係においても、自主性を発揮していこうとする要求があります。
 さまざまな立場の人が助け合って生きていく方向に進まないかぎり、社会的矛盾が大きくなり政権自体が維持できなくなってしまいます。
 民衆を犠牲にする政策をいつまでもつづけることはできません。

時代の流れをとらえて

 今後憲法が改悪され、かつてのように戦争に突入して暗黒の時代に逆戻りするのではないかとみる傾向があります。しかし、それは表面的な見方です。
 いくら一部の人たちが戦争をしたがっていても、世界の多くの人々が平和を求めるかぎり実際には戦争を起こすことはできません。また起こしたとしても、イラクのようにその国の人達を完全に支配することなどはできなくなっています。
 アメリカでは、ブッシュ大統領に登用されたネオコンは力を失ってきました。ライス国務長官も大統領補佐官時代は右翼タカ派の筆頭と言われていましたが、国務長官就任後ハト派に転じました。
 世界は自主・平和・協調の方向に着実にすすんでいます。わたしたちは、展望をもって運動していくことが大切です。