視点

アジアから孤立する小泉内閣

 10月31日に第三次小泉改造内閣が発足しました。小泉首相は第三次小泉改造内閣を「改革続行内閣」と銘打ち、構造改革を総仕上げする内閣であるとしています。
 毎日新聞では、今回の組閣人事を真新しさがないと評し、小泉首相に忠実な「イエスマン」が目立つと報じました。
 自民党総裁の任期がきれる来年9月で総理大臣を退任すると明言している小泉首相は、残された任期内に構造改革をすすめると発言しています。
 しかし、郵政三事業が民営化され株式会社として出発するのは2007年であり、消費税率の引き上げを含めた税体系の抜本的改革は2007年の通常国会に法案を提出することが検討されています。構造改革の重要な案件はみな小泉首相が退任した後に軌道に乗せることになります。
 実際に小泉首相の構想どおりに構造改革がすすむかどうか疑問が残ります。

第三次小泉内閣の特徴

 第三次小泉改造内閣の特徴として、一つは右翼勢力で構成されていることです。
 麻生太郎外相は、自民党整調会長時に、日本軍国主義が強制的に朝鮮人から氏名まで奪い支配した「創氏改名」について、「朝鮮人が望んだことだ」と発言し、アジア諸国の反発をかいました。麻生外相、安倍晋三官房長官は、代々政治家の家系で反動支配層の思想をうけついでいます。
 また二つ目の特徴として、アメリカ崇拝の考えをもつ人物によって構成されていることです。
 竹中平蔵総務相・郵政民営化相をはじめアメリカ留学の経験をもちアメリカを崇拝し、アメリカをモデルにして日本を変革しようとする考えをもつ人たちが多くいます。
 欧米を崇拝する一方、アジアを蔑視する感情をもっています。
 安倍官房長官や麻生外相らは、戦後のアメリカ化された教育のなかで育った世代であり、右翼でありながらもアメリカの意向にそって動きます。
 自民党が10月28日に決定した新憲法草案では、憲法9条2項に自衛軍の保持を明文化し、9条1項は継承しているものの、戦争放棄をうたっている9条を実質的に廃棄しています。また小泉首相以下国会議員が毎年靖国神社を参拝し、世論を二分しています。小泉政権はタカ派的政治を強硬に推進しており、右翼を前面におしだす手法をとるようになりました。
 日本政府は、11月5日、在日米軍再編で合意した在沖縄米海兵隊司令部のグアム移転に関し、移転費用やグアムでの施設建設費を日本側が負担するために特別な法的措置を講じる方針をかためました。アメリカ側の費用試算によると数千億円にのぼる見込みです。
 アメリカ軍は沖縄の米軍基地からアジア侵略に出撃しています。沖縄の人々は被害者としての意識だけでなく加害者としての自覚を持ち、朝鮮やアジア諸国と連帯するための運動を積極的に担っていくことが重要です。

アジアとの友好関係をつくるために

 小泉首相は11月19日、韓国・釜山で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に参加しました。
 そこで開かれた日韓首脳会談では、小泉首相が靖国参拝をしたことで、両首脳ともに「未来志向」を言いながらも、両国間の確執を解消することは先送りされました。
 日中首脳会談は中国側の意向で開かれませんでした。
 中韓首脳は小泉首相に厳しい姿勢を示しています。
 11月21日におこなわれた日ロ首脳会談では、共同声明さえ出せないほどに冷え込んだ両国関係の実情を映しだしました。
 現在日本政府がすすめている政策は、日本の明るい未来をひらくことができないばかりか、アジア諸国から孤立する方向にすすませる誤ったものです。
 まず日本を愛し、つぎにアジアを愛し、友好関係をきずいていくことが求められています。