展望

軍拡と大企業のための構造改革

 さきの衆議院議員選挙において、自民党は「改革をとめるな」をスローガンにかかげ、衆議院の過半数の票を獲得しました。
 改革というと一見よい政策のようにきこえますが、はたして国民にとって利益となる内容なのでしょうか。

消費税を引き上げて社会保障に

 政府は今後数年以内に消費税を10〜15%に引き上げることを検討しています。社会保障の負担が数年以内に16.5%になると予想されているところから、社会保障目的税としてすべて消費税でまかなおうとしているのです。
 今回新たに消費税を引き上げる背景には、今後は国家予算を国民のためではなく、軍備を拡張したり、巨大独占企業が国際競争力を強めていくために使っていこうという政策転換があります。
 教育、福祉、医療、環境などはもともと利潤を追求する分野ではないため、これまでも国民が住民税や所得税、消費税などさまざまな形で税金を納め、国がその税金でまかなってきました。しかし、今後国はもうからない分野から手を引き、民間にまかせていこうとしています。これが小泉首相が主張している「官から民へ」の本質です。安全性よりも利潤を追求し、列車事故を起こした会社がありました。民間企業が経営すれば当然利潤追求に走り、国民にしわ寄せがいくことは明らかです。

「小さな政府」の欺瞞

 「小さな政府」というと効率をあげ、無駄を省くというイメージがあります。小泉首相も公務員を減らし、効率的な社会をつくるために構造改革をするのだと主張しました。国は外交と防衛、治安だけをおこない、後は民間と地方自治体にまかせるという政策です。
 今回アメリカでおきた大型ハリケーン「カトリーナ」の被害状況をみても、アメリカの政策がいかに弱者には冷たいかということが明らかです。ニューズウィーク紙には「自国民を救えない政府」と題して、政権が小さな政府に執着するといかに自国民を支援、保護する能力が失われるかと書かれています。
 小さな政府をめざせば、アメリカと同じように公共サービスが低下し、弱い立場におかれた人々はさらに厳しい生活を強いられることは目に見えています。

弱肉強食が貫かれる市場原理主義

 アメリカ産の牛肉の輸入が年内にも再開される可能性が高まってきました。日米合意にもとづき、生後20か月以下の牛については牛海綿状脳症(BSE)検査なしで輸入を再開しようとしています。
 朝日新聞社が10月22、23日に実施した全国世論調査によると、輸入反対の人は67%で、賛成は12%にとどまりました。また輸入が再開されても67%の人は「食べたくない」と答えています。
 輸入が再開されると、国内の酪農家は打撃を受けます。政府は日本の自動車を輸出したり、海外で工作機械などを生産しやすくするために農業分野を犠牲にしようとしています。
 日本とフィリピンとの間で結ぼうとしていた自由貿易協定がいま暗礁に乗り上げています。日本はフィリピンに自動車など工業製品を輸出するために関税を撤廃することを求めています。一方フィリピンはその見返りとして看護師や介護士などを日本で大量に就労させたいと考えています。しかし日本では受け入れようとしていないため利害関係が対立しているのです。日本は多国籍企業をなりふりかまわず海外で展開しようとしています。

人間中心の政治を

 いまソニーが危ないと言われていますが大企業もいつつぶれるかわかりません。また、メディアの部門ではフジテレビやTBSなども買収の対象になっています。
 現在、資本主義社会は強いのではなく、弱くなっているために競争力を高めることが至上課題となっているのです。
 すべてが市場原理のもとに、もうかることだけを追求していくと、ごく一部の資本家のみが豊かになり、その他の多くの人たちはさらに貧しくなる世界になっていきます。
 すべての人たちが人間らしく生きていける社会が理想社会です。市場原理主義で動くのではなく、人間が大切にされ、豊かになる人間中心の政治が求められています。