展望

戦後60年 世界各地ですすむ平和の動き

 世界は一見混沌としているようにみえますが、自主、平和、協調の方向に確実に進んでいます。
 これまで強大な力を誇っていたアメリカが政治、経済、軍事的に弱体化してきました。
 平和を求める世界の人々によってすすめられている最近の世界の動きについてみていきます。

急速に進むドル離れ

 21世紀に入り、世界の基軸通貨だったドルの威信が低下し、世界各国でドル離れがすすんでいます。
 ヨーロッパ諸国はヨーロッパ連合(EU)を結成し、1999年には共通通貨ユーロを導入しました。
 今年7月21日、中国では人民元をドルだけではなく、ユーロや円、アジア各国の通貨など複数の外国通貨に連動させる通貨バスケット制を導入しました。アジアにおいてドルの影響力が弱まり、アメリカがアジア諸国を経済的に支配することができなくなりました。
 また長期にわたってアメリカ系資本の介入による国家経済崩壊の危機を経験した中南米でも、ベネズエラやブラジルが中心となって、南米国家共同体(CSN)の設立をめざして動き始めています。
 アメリカは依然として圧倒的な経済力を誇っているようにみえますが、アメリカ離れは時代の趨勢(すうせい)であり、アメリカ経済の弱体化はいっそう顕著になっていくでしょう。

世界から撤退する米軍

 現在米軍はイラクで抜け出ることのできない泥沼状態に陥っています。イラクの治安は依然として安定していませんし、アメリカ国内においても米兵死傷者が増えるなかでイラク派兵の評価が下がっています。
 CNNテレビ、USAトゥデー、ギャラップ社が8月5日から7日に実施した世論調査によると、イラク派兵を誤りだったと答えた人が54%にのぼり、これまでで最高になりました。部分撤退を含む撤退論は56%で増強論の13%を大きく上まわりました。
 米軍の撤退を求める内外の世論の高まりにより、米軍はイラクに居座りつづけることができなくなりました。
 西半球における米軍の要衝と位置づけられていたドイツ駐留米軍の撤退はすでにすすめられています。
 アメリカが東半球の要衝と位置づけている沖縄を中心とする在日米軍は、現在は撤退する動きはありません。
 しかし、アメリカに依存することなくアジアの国々と協調していく政治が実現すれば、日本に米軍が駐留する意味はなくなっていくことでしょう。

パレスチナ和平に向けて

 8月15日、パレスチナ占領地であるガザ地区などにおけるユダヤ入植者の撤収が開始されました。撤収対象はガザ地区の全入植地21か所とヨルダン川西岸4か所の計9千人で、西岸入植地の大部分(120か所以上、24万人)は対象になっていません。
 しかし、イスラエルが1967年の第3次中東戦争で獲得したパレスチナ占領地から撤収するのは初めてのことです。パレスチナ自治政府のアッバス議長は「すべての入植地からの撤収が和平合意の前提」と発言しています。
 撤収が和平進展につながるかどうかは予断を許しませんが、長いあいだ膠着状態がつづいたパレスチナ問題解決の糸口にしていくことが期待されています。

ベネズエラで世界青年学生祭典開催

 ベネズエラの首都カラカスで第16回世界青年学生祭典が8月8日から15日まで開催されました。
 祭典には世界5大陸140余か国から1万5000人余の青年学生が参加しました。
 開会式ではチャベス大統領が演説をしました。
 最終日には世界の青年学生が核兵器のない平和な世界を建設し、人間を中心にした社会正義を実現しようとの宣言が採択されました。

統一の機運高まる南北朝鮮

 朝鮮民主主義人民共和国のキムギナム朝鮮労働党書記を団長とする北側代表団は、ソウルで14日から開催された自主、平和、統一のための8・15民族大祭典に参加しました。
 ソウル市民約6万人が代表団を歓迎し、統一大行進、サッカー大会、集会など多彩な行事がおこなわれました。
 南北朝鮮の統一はすでに時間の問題になっています。

アチェ平和協定調印

 8月15日、インドネシア政府と同国アチェ州の独立武装組織「自由アチェ運動(GAM)」はヘルシンキで公式協議を開き、約30年に及ぶ紛争を集結する和平協定に調印しました。
 昨年12月のスマトラ沖地震津波を契機に5回を重ねた和平協議は、インドネシアのユドヨノ大統領が目指した「独立60周年までの調印」を実現させました。歴史的和解を歓迎する声が高まっています。
 自主、平和、協調を求める世界の動きは今後ますます加速していくことでしょう。