展望

民族性が発揮される豊かな世界

〜民族的自主権の確立〜

 現在の世界は、交通機関が発達し、情報が互いに日常的に行き交うなかで、急速に近い関係をつくっています。
 世界には少なくとも数十億人の人たちが何らかの民族を単位にして集団を形成しながら生活しています。
 これからの世界の平和と発展について考えていくとき、民族の問題を正しく理解していくことが重要です。

民族の主体性を堅持

 花も1色だけではなく、さまざまな花が色とりどりに咲いてこそ美しく感じられます。同じように自分たちの歴史と伝統、文化を誇りとして生活しているさまざまな民族が互いに尊重しあいながら生活してこそすばらしい世界が実現します。
 民族が誇りをもって生きていくことができるようにするためには、民族的自主権を確立することが重要です。
 従来の運動では自由と平等を実現させることを目標にする傾向がありました。 自由と自主は異なります。
 自由とは他者から解放されて自らの主人になることです。
 自主とは自由をかちとったうえで他者にたいしても主人らしく責任をもつことです。
 また、自主権と平等権は異なります。平等権は人種、信条、性別、社会的身分などにより差別されない権利です。
 自主権は、民族的主体性を堅持することを基本にして、社会のなかで主人らしく自然とともに自由に生きる権利です。自主権は平等を前提にしつつ、自己のアイデンティティーを発揮し、社会で主人らしく生きる権利です。

自主的に生きるために獲得する権利

 民族が自主的に生きるためには、政治的権利を手にしなければなりません。 政治的権利を主張し、勝ち取るためには国政の場に参加することが求められます。
 ベネズエラやエクアドルなどでは、先住民族が多数派を形成して政権をとり、直接国家の政治を担っています。
 政治的権利を主張し、勝ち取るためには民族固有の政治組織を結成することが課題になります。
 世界各国では、先住民族や個々の民族が独自の政治組織をつくり、積極的に運動しています。
 民族が自主的に生きるためには、経済的権利を手にしなければなりません。 経済的権利とは、基本的経済生活を実現する権利です。経済生活を保障するためには、土地と資源の所有と使用が保障されなければなりません。
 国からの経済的援助を受けること自体には問題はありませんが、経済的援助を受けることを自己目的化する運動では不十分です。福祉政策にだけ依拠していては、施しを受ける対象にとどまってしまいます。
 土地と資源の所有と使用に関する保障を勝ちとり、自力で基本的経済生活をおくれるようにすることが重要です。
 民族が自主的に生きるためには、文化的権利を手にしなければなりません。 文化的権利を実現するためには民族文化と民族としての誇りを伝える教育に力をいれなければなりません。
 教育により人間性を高め、有能な人材を育てることができます。思想性と政治性が高く能力もある優秀な人材が育ってこそ、よい運動ができます。
 民族の尊厳や伝統、たたかいの歴史を継承するためにはとりわけ新しい世代を目的意識的に育成することが重要な課題になります。
 ベネズエラではチャベス大統領が教育に力を入れ、各地に学校を建設しています。
 民族が自主的に生きるためには、社会的権利を手にしなければなりません。 社会的権利には、社会教育機関に参加する権利、就業、学業、結婚の自由などが含まれます。また、国際的交流活動を自由におこなうことも保障されなければなりません。
 日本にはアイヌ民族や在日朝鮮人などが生活しています。日本で生活するすべての民族の権利が保障されてこそ、日本の社会がより豊かに発展したということができます。

台湾で先住民族のテレビ局開局

 7月1日、台湾でアジア初の先住民族専門のテレビ局が開局されました。
 台湾では12の民族が先住民族として認定されています。これは台湾の全人口の2%を占め約46万人になります。
 これまで台湾では漢民族中心の政治がおこなわれ、先住民族は同化政策のもと、社会的差別を受け、長い間抑圧されてきました。
 今回のテレビ局開局により、すべての民族の生活や言語、伝統、文化を紹介したり、新しい世代を教育したりすることが可能となりました。
 放送は1日24時間、年間予算は日本円にして約10億円と台湾政府も力を入れています。昔ながらの民族衣装を着たキャスターがニュースを読み、それぞれの民族が住む地域の天気予報をしています。
 今後このように先住民族の民族的権利を守る政策が各国でも盛んになっていくことでしょう。