視点

小泉首相の靖国神社参拝に内外から批判の声高まる

 小泉首相が靖国神社を参拝することにたいして中国や韓国などアジア諸国からの批判が強まり、関係が悪化しています。
 また、国内でも見直しの声が高まっています。なぜ小泉首相は靖国神社参拝にこだわるのでしょうか。
 靖国神社参拝の背景と本質、この間の動きなどについてみていきます。

靖国神社参拝の意図

 靖国神社には第二次世界大戦後、東京裁判で判決を受けたA級戦犯14人が合祀(ごうし)されています。
 1985年、中曽根康弘首相(当時)による戦後初めての公式参拝の際、中国政府の反発を受けて翌年からは首相参拝を中断しました。以後自民党は、神社の祭神からA級戦犯を除外(分祀)するように要請していました。
 6月9日、神社本庁が靖国神社に合祀されているA級戦犯を分祀することは神道の教学上、不可能であるとの基本見解を発表しました。
 日本の反動支配層は、軍国主義の象徴である靖国神社を重視し、第二次世界大戦における日本の侵略の歴史を肯定して、今後日本が独自に戦争するためのイデオロギーを構築しようとしているのです。

見直しを求める動き

 共同通信社が5月27、28日に実施した全国緊急電話世論調査によると、小泉首相の靖国神社参拝について「今年は見送るべきだ」との回答が57.7%に上り、昨年12月に調査したときよりも16.9%も増加しました。
 「今年も参拝すべきだ」は16.7%減の34.3%でした。
 中国の呉儀副首相が小泉首相の靖国神社参拝を厳しく批判し、会談をキャンセルし、日中関係が悪化したことをふまえて参拝の見送りを求める声が一段と高まっています。また、6月7日、河野洋平衆議院議長は小泉首相を訪ね、「こういう状況のなかで首相の靖国神社参拝は慎重にも慎重に考えるべきだ」と自粛を求めました。
 この日の会談は1日に河野議長が海部、宮沢、村山、橋本、森の歴代首相5人と意見交換した内容を伝えたもの。
 中国などとの関係を考慮し歴代首相も公式参拝はとりやめる判断を下してきたと、参拝中止を迫りました。
 さらに日本遺族会会長の古賀誠氏も「遺族の願いでありありがたいが並行して英霊が静かに休まることが大事だ。近隣諸国に配慮し、理解してもらうことが必要だ」との考えを示しました。
 また、奥田碵経団連会長は6月13日の会見で「数の多少は別として、事実は事実であり、『それは知らない、もうすんだ』というのは言い過ぎではないかと思う」と語り、従軍慰安婦や強制連行などの歴史についての認識を近隣諸国と共有すべきだとの考えを示しました。

アジア諸国との連帯は国益にも合致

 最近中国、インド、韓国などアジア諸国は経済的にも発展してきています。
 中国はアメリカにつぐ世界第2位の経済大国になろうとしています。
 それにともない政治的な発言力や世界にたいする影響力も強まってきました。
 日本がアジア諸国と友好関係を結ぶことは、今後日本の経済を発展させていくためにも重要なことです。
 世界が狭くなり、すぐに互いに行き来できるようになりました。
 日本はアジア諸国と連帯していくことにより、今後の発展を展望していくことができます。それは日本の広範な人々の願いにも国益にも合致することです。