視点

ライブドアが投げかけた波紋

〜ニッポン放送株をめぐる争奪戦〜

 いまインターネット関連会社ライブドアとフジサンケイグループによるニッポン放送の株をめぐる争奪戦が日本中で大きな関心を集めています。

ニッポン放送株争奪戦

 ニッポン放送株争奪戦は、2月8日朝、ライブドアが東京証券取引所の時間外取引でニッポン放送株を取得し、それ以前の保有分とあわせ35%をもつ筆頭株主となったことで火ぶたが切られました。
 ニッポン放送は2月23日、発行済み株数の約1・4倍にあたる4720万株分の新株予約権(ニッポン放送株を新たに取得できる権利)をフジテレビに与えると発表し、翌24日にはそれにたいしライブドアが差し止めの仮処分を申請しました。
 ライブドアが、新株予約権をフジテレビに与えることの差し止めを求めた仮処分について、東京地裁は3月11日、「新株予約権発行目的はフジサンケイグループ経営陣の支配権維持にあり、著しく不公正」と差し止めを命じる仮処分決定を下しました。
 ニッポン放送は決定を不服として同日、同地裁に異議を申し立てましたが、3月16日却下する決定が下されました。23日、東京高裁は東京地裁決定を支持し、ニッポン放送の抗告を棄却する決定をしました。同放送は最高裁への特別抗告などはしない方針です。

封建制を残す日本資本主義

 資本主義社会においては、お金がすべてを支配します。
 資本主義社会のなかで力をもち人々を支配するのは、1億円が100億円に、100億円が1000億円に増殖するお金である資本です。増殖するお金をもっている人を資本家と呼びます。
 莫大な資本をもち資本を増殖させつづけるために、圧倒的な多数の民衆を支配し搾取する一握りの集団が資本家階級となります。
 日本においては、かつて三井、三菱、住友、安田の4大財閥が経済界を支配しました。
 明治時代以降、財閥は経済市場を海外に求め、日本を海外侵略や戦争に導きアジアの人々を犠牲にしました。
 第2次世界大戦後、連合国軍司令部(GHQ)は、経済市場拡大をめざして戦争をひきおこした財閥を解体するように強制しました。
 財閥が解体させらればらばらになった会社も、戦後60年をへるなかで徐々に企業の系列化がすすめられ、今日ではいくつかの大きな経済グループが形成されるようになっています。
 日本の資本主義は、完全な自由競争によって市場原理が貫かれる資本主義ではなく、封建性を残す資本主義です。
 西武鉄道株の名義偽装が刑事問題になった西武グループ傘下の企業は、たがいに株式を持ち合うことにより、自己の意のままに企業経営をおこなっていました。
 今回ライブドアは、封建性をおびた日本の資本主義にたいして一石を投じ、日本の社会のなかに波紋が広がっています。

お金中心の社会はよい社会ではない

 株式会社の主人は株主です。株主が集まる株主総会が株式会社の最高決定機関です。株主総会で会社の社長、取締役、専務などの役員が決められ、その役員のもとに社員が募集され、株主の利益を守るために、社長の指揮のもとで社員が働くのが株式会社の本来のあり方なのです。
 フジサンケイグループがおこなっている日本の古い手法からみるならば、ライブドアがおこなっている手法は相対的には新しいといえます。
 ライブドアのとった手法は、アメリカをはじめとする外国資本が要求するものでした。
 ライブドアのすすめていることは、これまでの封建性の残る日本の資本主義をたたきつぶすということであり、行き着く先はお金があればなんでもできるというアメリカ型の資本主義です。
 徹底した自由競争にもとづいたお金中心の社会はけっしてよい社会とはいえません。
 人々はお金に人間が従属し支配されるのではなく、人のためにお金を使い、心が大切にされる社会を求めています。