インタビュー

本当の平和は必ず来る

ヤスミン植月千春さん(ピアニスト・カーヌーン奏者)

ヤスミン植月千春(うえつきちはる)
1957年 岡山県生まれ。
京都市立芸術大学音楽学部を卒業後、ザルツブルグに留学。帰国後ラウンジピアノの演奏を始める。サンフランシスコ、ベルギー、シンガポール、東京で演奏活動をおこなう。
2001年 トルコで、2002年チュニジアでカーヌーンの奏法を学ぶ。
2001年 イスラム教徒になる。ヤスミンはジャスミンを意味するイスラーム名。
2002年 カーヌーンソロのCD発売。
2003年 イラクに行き、帰国後各地でカーヌーンの演奏を通して反戦平和運動をおこなっている。

 カーヌーン(アラビアの琴)演奏を通してイスラムへの理解を深めてもらおうと活動されているヤスミン植月千春さんにお話を伺いました。

―イラクはいまどのような状態なのでしょうか。

 私は昨年5月1日、ブッシュ大統領が戦争終結宣言を出した日にイラクに入り、イラクを縦断してきました。それから各地でイラクで見聞きした報道されていないことをお話してきました。
 最近、バグダッドの友人から「ファルージャを助けてくれ」という悲鳴のようなメールが入りました。私が去年イラクを訪れていた時、ファルージャで大規模なデモがおきました。そこに米兵が発砲したのですが、そのデモは米兵が小学校を占拠して授業を受けさせないばかりか、ポルノ写真を配ったことにたいして父母が抗議したものでした。ファルージャでは、その時からずっとひどい殺戮さつりくがおこなわれています。米兵のなかには厭戦えんせん気分が漂っているそうですが、人間としての良心があれば当然のことです。イスラムのため、祖国のため、家族のためにたたかうイラクの人々と米兵では士気がまったくちがいます。ファルージャでの殺戮に、イスラム世界全体が痛みを感じています。

くずれる日本にたいする信頼

 イラクの人々は日本に原爆が落とされたことをみんな知っています。私はタクシーの運転手に「日本はアメリカがこわいからさからえないんだね。イラクのことを思ってくれていることはわかってるよ」と言われて返すことばがありませんでした。自国をメチャクチャにされている国の人からなぐさめられてとても恥ずかしい思いをしました。
 日本はアラブ世界の人々から好意的にみられていたのに攻撃を支援し、自衛隊を派遣してアメリカに追随していくことによって、その信頼をくずしてしまったことは本当に残念なことだと思います。

カーヌーンを通して平和を訴えたい

 カーヌーンは微分音(西洋音楽の12音階では表現できない微妙な音)を演奏できる楽器で、自然と一体となるようななつかしい響きがします。
 トルコ料理店でたまたまカーヌーンに出会い、それからその魅力に魅かれてトルコとチュニジアに行き、演奏方法を学んできました。
 もともと私はミュージシャンなので、音楽、とりわけカーヌーンを通して平和を訴えていきたいと思っています。

協調と平和を重んじるイスラム

 私は2年間かけてクルアーン(コーランのこと)をアラビア語の原文で読み通しました。本来、イスラムは協調と平和を重んじる宗教です。一般的には戒律が厳しいと思われていますが、戒律はこうした方があなたのためにいいよという指針なのです。
 またイスラムでは人間はみんな一つの体のようなものであり、体の一部が苦しんでいるとき体全体が健康にはなれないと教えています。

世界が変わることを信じて

 アメリカは罪のない人々を世界各地で殺し、あまりにも理不尽なことをしています。でもそのために眼をひらく人もたくさんでてきています。日本でもアメリカに従ってばかりいるのはおかしいと感じる人も多くなりました。平和を求める人たちの気持ちが一つになったときに世界は変わると思っています。

(11月10日編集部でインタビュー)