安全性を無視してBSE全頭検査廃止へ

 経営再建中の大手スーパー、ダイエーは10月13日、民間主導の自主再建を断念し、産業再生機構の活用を決め支援を要請しました。
 産業再生機構は、不良債権処理を加速するために2003年に政府によって設立され、過剰債務で経営悪化した企業を公的に支援することをその目的としています。対象企業に融資する多くの銀行の債権を買い取ることで複雑な債権関係を整理、有望事業以外は売却して利益のでる体質にするとしています。
 再生機構が選ぶダイエー支援企業については、アメリカ小売最大手のウォルマート・ストアーズなどが候補として浮上しています。
 不良債権を処理したあとの安くなった株を、外資が安く買うことができるようにしています。

アメリカ資本に売り渡す

 日本政府は、金融機関に不良債権の処理を迫ることにより経営破たんに追い込み、アメリカ資本に売り渡しています。
 りそな銀行は政府によって実質的に国有化されました。現在、UFJホールディングスに早期の不良債権処理を迫ることにより経営不安に陥らせ、他の金融グループとの統合をすすめるようにしています。
 日本の金融機関や企業を破たんに追い込み、アメリカ資本に売り渡す先頭に立っているのが、竹中平蔵経済財政・郵政民営化担当相です。
 竹中金融財政相(当時)は、8月12日ニューヨークで講演し、日本の郵便貯金の資金量は国際的にみてもとびぬけて莫大であり、郵便貯金や簡易保険は、個人金融資産や国債発行残高の約四分の一を占め、巨大すぎるため民営化にふみきれなかったと述べました。
 竹中金融財政相は郵便貯金が公的金融機関でありつづけることは許されない、郵便貯金と簡易保険を民営化しなければ金融機関の真の自由化はないと指摘しています。
 竹中金融財政相があえてアメリカに行ってまでこのように講演したのは、アメリカの後押しのもとに郵便貯金と簡易保険を完全に民営化し、将来的にはアメリカ資本に売り渡すためです。
 郵政三事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)の民営化は小泉首相が力を入れ、竹中郵政民営化担当相に積極的にすすめさせています。小泉首相が強行する郵政三事業の民営化は、日本経済を活性化させるためのものではなく、アメリカ資本の利益のための政策です。

米国産牛肉輸入再開へ

 日本政府は、アメリカでBSE(牛海綿状脳症)感染牛が発見されたため、昨年12月からアメリカ産牛肉の輸入禁止措置をとってきました。日本政府が輸入再開条件として、日本国内並みの全頭検査をアメリカでも実施するように求めたのにたいして、アメリカ政府は日本側の提示する条件は非科学的であると主張し、全頭検査を拒否して対立してきました。
 10月14日、自民党は「動植物検疫・消費安全小委員会」において、生後20か月以下の牛は検査の対象外とする政府のBSE対策見直し案について、3年間は希望する自治体に、対象外の牛の検査費用を助成する条件つきで了承しました。
 自民党の了承をうけ政府は15日、内閣府・食品安全委員会に見直し案を諮問しました。
 政府の見直し案は、アメリカ産牛肉の輸入再開にふみきろうとするものです。実際にアメリカ産牛肉の輸入再開問題の早期解決に向け、アメリカ農務省高官と近く東京で協議する方向で調整しています。
 これにより日本国内では全頭検査を継続しながら、アメリカ産は検査なしで輸入が再開されるというダブルスタンダード(二重基準)となります。
 日本政府は、日本の人々の食の安全を無視し、牛肉を輸出しようとするアメリカの圧力に屈して全頭検査を廃止しようとしています。
 あらゆる分野で強まっている日本政府の対米追随の姿勢をあらため、日本の人々の利益から出発して経済・金融政策をうちだしていくことが求められています。