インタビュー

平和への願いを音楽にのせて

きたがわてつさん(歌手)
―歌手になられたきっかけは何ですか。

 岩手大学の学生の頃大病を患い、意識がもうろうとしていたときにラジオから流れてきた音楽を聴き、衝撃を受けました。身体中にふるえがきて、それがおさまったときにエネルギーが戻ってきて生き返ったような感じでした。音楽のもつ力に魅了されました。
 当時「あなたのメロディ」というアマチュアが創作した歌をプロが歌ってくれる番組に中学、高校時代に3回採用されたことも、音楽の道にすすむうえで力となりました。
 教員の資格もとりましたが、多くの人を励ます歌をつくっていきたいと思うようになったのです。

憲法前文を歌にして

―日本国憲法前文を歌詞にした歌をつくられていますね。

 今から23年前です。病院や施設で公演するなかで、貧富の格差があり、恵まれない人が多いことを知りました。日本には憲法があり、一人ひとりが平等であるはずなのになぜなのかという疑問がふくらんでいきました。この歌は憲法をもっと輝かせていきたいという思いでつくりました。
 約20年間で約100万人の人たちがこの歌を直接聴いてくれました。昨年11月から始め、今年の憲法記念日を前後したキャンペーンでは、全国約60か所を回りました。
 君が代、日の丸が法制化されて以降は、公立学校ではほとんど公演はなくなりましたが、学校の授業で先生たちに憲法前文の歌が入ったCDを使っていただいています。
 各地で手づくりの集会、コンサート、ライブなど幅広く多様なとりくみがされるようになってきたことはすばらしいです。主催者や参加者の思いが伝わってきます。

真実はいつか明らかに

―アメリカが始めたイラク戦争に多くの人々が反対していますね。

 先日「華氏911」を観て、真実はだいぶ明らかになってきていると感じました。多くの人々が言っていたように、イラク戦争には大義はなく、最初から戦争ありきでした。
 マスコミの報道が戦争に向かっていくうえで大きな役割を果たしていました。
 さまざまな妨害をはねのけて、あのような映画をつくってしまうマイケル・ムーア監督はすごいなぁと思いました。
 情報はあふれているけれど真実はどうなっているのかよくわからないため、多くの人たちが欲求不満になっていました。
 みんなが知りたがっていたことを、マイケル・ムーア監督が豊富な資料を映像にして提示してくれたのです。
 いくら戦争を引き起こす側が国民をだまそうとしても、けっして多くの人たちはだまされなくなっているのではないかと思います。外部の動きに惑わされないで、自分たちが学んだり考えていることをまわりの人に広めていくことが大事ですね。

世界平和に貢献できる日本

 十数年前に初めて韓国に行ったときは反日感情がとても強かったのですが、昨年はまったくといっていいほどありませんでした。しかし、まだ微妙な問題もあると思います。
 日本はアジアと仲良くしていくのが当然であり、過去、日本がアジアなどにしたことを考えても、もっと世界の平和に貢献できるし、しなくてはならないと思います。
 わたしは来年、歌手になって30周年を迎えます。もっともっと日常生活のなかで、平和のこと、学校で起きていること、一人ひとりの悲しみや喜びなどをみんなで話し合い、助け合っていけたらよいと思います。
 日本の平和に自分が役立つことを通して、世界の平和の力となっていくことができます。
 人の思いや願い、命の大切さにこだわって、これからも全力で歌いつづけていきたいと思っています。