視点

イラク戦争を正当化する日米両政府

問われるイラク戦争の「正当性」〜いまだに多くの人々が犠牲に〜

 アメリカのパウエル国務長官は、9月13日の上院政府活動委員会の公聴会で「イラクでは大量破壊兵器はみつかっていず、今後も発見されることはない」と証言しました。
 また、国連のアナン事務総長は、15日の英BBC放送のインタビューで「イラク戦争は国連憲章上からも違法だった」と発言しています。
 いま国際的に、イラク戦争の「正当性」が問われています。
 ブッシュ大統領は、イラクに大量破壊兵器があることを根拠にイラクを武力攻撃し、いまなお、連日多くのイラクの人々が犠牲になっています。
 国連憲章には、世界の平和と安全を維持するために紛争解決の手段として武力行使をおこなってはならないことがうたわれています。
 その一方で国連憲章は、国連加盟国が武力攻撃を受けた場合にかぎり、個別的および集団的自衛権を行使することを認めています。
  アメリカは国連憲章の武力行使を認める条文を根拠にして、他国に戦争をしかけることを正当化しています。
 アメリカは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センタービルなどが攻撃されたことをもって、アメリカが他国を武力攻撃することが国連憲章にもとづく正当な権利であると主張しました。
 同様にアメリカと同盟関係にある日本が、イラクを武力攻撃する権利も国連憲章で認められていると日本政府は主張するようになりました。

アメリカが戦争する目的

 アメリカはイラクの石油を奪うために戦争していると論じられていますが、彼らの戦争の目的は石油の利権を得るためだけではありません。
 戦闘がつづくかぎりパイプラインが破壊され、石油を運び出すことができず、むしろ損害の方が多くなります。イラクを完全に占領してしまえば石油を奪うことができますが、完全にイラクを占領できる確証はなく、短期的にみれば損失の方が多いといえるでしょう。アメリカにとってイラクの石油獲得は長期的な目標にすぎず、賭けに等しいものであるといえます。
 アメリカが戦争する第一の目的は、軍需産業を潤すことです。爆弾をつくり投下すれば、爆弾をつくる会社が儲かります。ブッシュ大統領をはじめアメリカ政府の主要メンバーの大部分が軍需産業の経営者です。
 アメリカが戦争する第二の目的は、復興建設によって儲けるためです。アメリカの企業は戦争によって破壊された国や地域の復興建設を請け負い、莫大な儲けを得ています。
 戦争や復興建設に要する莫大な費用は民衆が納めた税金によってまかなわれています。
 戦争によって多くの人々が殺され、税金が一部の企業に流れていくようなことが許されてよいのでしょうか。

国連安保理常任理事国入りをめざす日本

 パウエル国務長官は8月12日、日本の報道機関と会見し、日本が国連安全保障理事会常任理事国入りをめざすなら、日本が戦争放棄を規定する憲法9条を改定するよう圧力をかけました。
 また、7月21日にはアーミテージ国務副長官は訪米した中川秀直自民党国会対策委員長との会談のなかで、日本は軍事力の展開ができないならば常任理事国入りはむずかしいと述べ、改憲が常任理事国入りの条件になると表明していました。
 小泉首相は、9月21日の国連総会一般討論演説で、国連安保理常任理事国入りをめざす決意を表明しました。
 日本の国連安保理常任理事国入りをめざす動きは、国連の名のもとに侵略戦争を正当化しようとする日米両国の意図にもとづくものです。
 最近の日本と世界の動きをみると、戦争や力による支配がつづいている一方で、世界の人々は戦争でなく平和を求め、対立ではなく協調を求めています。
 アメリカの一元的支配に反対し、日本の時代錯誤的な海外侵略を阻止して、自主、平和の流れを促進することが求められています。