視点

時代に逆行する日本の原子力政策

〜美浜原子力発電所事故が証明〜

 8月9日、福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所で高温の蒸気が噴出し、作業員11人がやけどを負って病院に運ばれました。4人が死亡、二人が重体、5人が重軽傷という運転中の原発の事故としては、過去最悪の規模となりました。作業員は全員が下請けの社員であり、破裂部分は76年に運転を開始してから一度も点検されていませんでした。

危険な原子力事故と放射線障害

 原子力関連施設での事故は、日本でも世界でも頻発しています。日本では2001年だけで、法律対象と通達対象をあわせて15件 (原子力安全保安院発表)のトラブルが報告されており、商業用原発で被曝した年間労働者教は約6万4728人 (放射線従事者中央登録センター発表)に達しています。
 放射線は人体にたいする毒性が非常に強い物質です。
 放射線は飲食物、呼吸、傷口などから体内にとりこまれると肝臓、腎臓、甲状腺などの臓器に沈着し、そこから放出される放射線によって内部被曝をひきおこします。
 放射線は、遺伝や食物連鎖などを通して、今後人類にどのような影響を及ぼすかについてはまだほとんど解明されていません。

他の国では撤退する傾向

 原子力は水力、火力につぐ 「第三のエネルギー源」 といわれ、世界的に開発利用されてきました。
 2003年末現在、世界で運転中の発電用原子炉は31か国・地域で434基にのぼります 。
 しかし、先進工業国では安全性などが問題にされ、原発から撤退する傾向にあります。日本の原子力発電は世界の流れに逆行し、2003年末現在、運転中の52基に加えて、建設中と計画中をあわせて11基を新たに開発しようとしています。

大量のプルトニウムを備蓄

 原子力を軍事に利用して通常兵器の何百倍もの破壊力をもった爆弾として開発されたのが原子爆弾 (原爆)や水素爆弾 (水爆)です。
 現在の核弾頭はほとんどがプルトニウム239を利用しています。
 日本が保管している分離プルトニウムの量は2001年末現在約3トンにのぼり、アメリカ、フランスについで世界のトップクラスです。
 1トンのプルトニウムで長崎に投下された原爆が100個以上製造できます。日本は技術もあり、経験も蓄積しているのでいつでも核兵器を製造することができるのです。
 使用済み核燃料には1トンあたり、6〜7キログラムのプルトニウム239がふくまれています。

原子力政策の転換を

 政府は 「原子力発電はコストが安い」 と宣伝してきましたが、原子力の単価には今後半永久的に必要な何兆円もの核廃棄物の処理保管費用は含まれていません。原子力発電には経済的メリットがないばかりか、後の世代まで莫大な経済的負担がともないます。
 太陽光、風力などクリーンな新しいエネルギー源も開発されています。
 人命を尊重しない危険な日本の原子力政策を転換することが急務となっています。