視点/国際

米軍によるイラク人収容者虐待

〜明白なジュネーブ条約違反〜

 現在、アメリカ軍がバグダッド郊外のアブグレイブ刑務所をはじめ、多くの刑務所でイラク人収容者を虐待していた事実が明らかになり、マスメディアに連日とりあげられています。
 捕虜の取り扱いに関する国際法(ジュネーブ条約)に違反しているとして、問題になっています。

虐待の事実が明らかに

 4月28日、アメリカのメディアがアブグレイブ刑務所に拘束中のイラク人収容者にたいする米兵による虐待写真を公表しました。それ以降、米兵によるイラク人収容者虐待の事実がつぎつぎに明らかになりました。
 米兵によるイラク人収容者虐待問題は、昨年からイラクの人々が抗議していました。赤十字国際委員会は、米兵によるイラク人収容者への虐待はアブグレイブ刑務所にとどまらず広範囲でおこなわれている実態を明らかにした報告書を今年1月に米軍に提出し、改善を求めていたと発表しています。

イラク戦争口実の破綻

 アメリカはイラクが大量破壊兵器を保有しているということを口実にしてイラク戦争を開始し、フセイン政権を崩壊させました。
 しかし、いまだにイラクが大量破壊兵器を保有していた証拠は見つからず、アメリカがイラク戦争の口実にしたイラクの大量破壊兵器保有が嘘であることが明白になりました。
 アメリカはまた、フセイン体制を打倒してイラクの人々を解放し民主化することが、イラク戦争のもう一つの目的であるといいました。ところが、アメリカはイラクの人々を解放するどころか、多くのイラクの人々の命を奪い街を破壊し、あげくのはてに、イラク人収容者虐待という事態までひきおこしました。この問題が暴露されたことにより、イラクを民主化するということも、イラク戦争の口実にすぎなかったことが明らかになりました。
 イラク人収容者にたいする虐待は、捕虜にたいして自白を強要するための拷問であり、個人がおこなったものではなく、米軍や情報機関の指示でなされたものです。明白なジュネーブ条約違反により、ラムズフェルド米国防長官の責任を問う政治問題にまで発展しています。

泥沼化するイラク戦争

 ブッシュ大統領がイラクにおける大規模戦闘終結宣言をおこなってから、すでに1年がたちましたが、イラクでの米兵の死者は大規模戦闘終結宣言後しだいにふえ、今年四月には過去最大になりました。
 イラク戦争は泥沼化の様相を呈しています。
 4月28日に米ギャラップ社が公表したイラク全土でおこなった世論調査によれば、イラクで活動するアメリカ主導の連合軍を占領軍とみなすとの回答は戦争直後の43%から71%に増加したのにたいして、連合軍を解放軍とみなすとの回答は43から19%に減少しました。
 アメリカはイラクの解放者ではなく、占領支配者であることが誰の目にも明らかになってきました。
 ブッシュ大統領自身の支持率も、支持するが46%、支持しないが51%と完全に支持、不支持の逆転現象が生じています(ギャラップ社調査)。
 アメリカはイラク戦争とその後の占領の誤りを認めて、直ちにイラクから撤退すべきです。
 日本は孤立し、ぬけだすことのできない状況に陥っているアメリカに追随するのではなく、自主、平和の道をすすみ、アジアをはじめ世界の国々と協調していくことが求められています。