視点

平和を求める世界の動き

〜アメリカのイラク攻撃1周年〜


ワールドピースナウ 3.20による平和パレード

 国連や国際世論を無視したアメリカのイラク攻撃から1年が経過した。イラクには大量破壊兵器はなかったという事実が明らかになるにつれ、大義なきアメリカ主導による戦争と、それを支持した政権にたいする批判の声が高まっている。

スペインで8年ぶりに政権交代

 3月14日、スペインで総選挙がおこなわれ、野党の社会労働党が第1党となり、8年ぶりに政権が交代した。
 イラクからのスペイン軍の撤退を公約にした社会労働党は、イラク戦争を支持したアスナール政権の与党国民党を破った。
 24日、パウエル米国務長官やブレア英首相と会談した次期首相のサパテロ社会労働党書記長は、6月末までに国連への大幅な権限委譲がなければ公約どおりにスペイン軍を撤退する意向を表明した。
 また、これまでのアメリカに追随する外交から、欧州重視の多角的外交路線に転換する姿勢を示した。

イラク攻撃の背景

 イラク攻撃の背景として、アメリカが中東の石油をめぐる利権を得るためと考えられていた。しかし、アメリカは発電量を石油ではなく石炭に依存している。しかもその埋蔵量はあと数百年分もあるといわれている。実際に石油を運ぶためのパイプラインは、イラク全土への攻撃により、切断されてしまった。このことからしてもアメリカの目的は石油ではないことは明らかである。ではなぜアメリカはイラクを攻撃したのだろうか。
 アメリカがイラク攻撃にはしった背景には、ネオコンサーバティブ(新保守主義者)の意向があったことは知られている。
 1997年に結成された「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC)の設立者はネオコン総帥のアービング・クリストル氏の息子のウィリアム氏。設立趣意書の賛同者にはチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ウルフォウィッツ国防副長官など現政権の中枢が多数名を連ねている。PNACは軍事力を行使して、アメリカの価値観を世界に普及することをめざしている。ブッシュ政権発足当初からイラク攻撃、フセイン政権打倒のシナリオはできていたのである。

混乱が続くイラク

 イラク戦争開始以来の米兵の死者は5百人を超えているといわれている。そのうち非戦闘中の死者は百数10人。ストレスが原因の自殺者や行方不明者が続出している。
 ブッシュ大統領は、イラク攻撃1周年に際して、イラクの民主化のために米軍は駐留していると演説したが、米軍がいるかぎり、イラクの民主化はありえない。
 長引く戦争と経済の低迷のため、国民の7割、約800万人が貧困に苦しんでいる。

急速に進むアメリカ離れ

 今年の7月には日本で3議院議員選挙、11月にはアメリカで大統領選挙、オーストラリアでも総選挙が予定されている。
 イラク攻撃を支持した政権にたいして、各国の国民はどのような審判を下すのだろうか。スペインの総選挙の結果が各国に波及することはまちがいない。
 アメリカの国民自身がブッシュ大統領の外交政策に疑問を感じているのに、小泉首相は相変わらずブッシュ大統領に同調している。小泉首相は、ブッシュ大統領が落選したら急速に力を失うであろう。
 アメリカから距離をおく国は今後ますます増えることが予想される。
 3月20日、世界数10か国で、また日本各地で平和を求める集いやデモが繰り広げられた。
 世界の平和を求める大きなうねりが、アメリカの1極支配による国際政治を転換させる日は近いことを感じさせた。